La tentative ( 企て ) 3






『…しばらく自由に会えなかったが、元気でいたか?』

『ああ。…お前はどうだった。』

『お前も知っているだろう。
こんな格好をさせられた上、女性としての所作の特訓だぞ。毎日辟易していたよ。』

『…しかし綺麗だよ。』

『…こんなもの。
向こうに行ったら、キュロットを履いて馬に乗ってやる。』

『ははは、叶うといいな。』

『…お前は案外冷静なのだな。安心したよ。』

『そんなふうに見えるのか。
明日お前が旅立つというのに、冷静でいられるわけはない。』

『…突然別れが来ることもあるのだし、今度の事では使者が来てからだいぶ時間があったのだからまだ良い方だろう。
その間にお前が、私との逃避行を計画してしまってはとハラハラしたが。ははは。』

『計画したさ。』

『したのか?』

『お前が誰かのものになるくらいならと…。だが、それは愚かしい事だ。
お前が苦悩の末に出した結論を、俺がどうこうしてはいけないだろう。』

『…そうか。よかった。』

『行くのはお前の決意。』

『…。』

『救いに行くのは俺の決意だ。』

『…お前、犬死にしたいのか。』

『犬死にではない。それにお前の為に死ねれば本望だ。』

『お前はこの国で生きてくれ。
主人としての最後の命令だ。』

『…。』

『お前と私は、少しの偶然から人生を共有し、また離れる。それだけのことだ。
その先にはまたそれぞれの人生が待っているはずだからな…。自分を大事にしてくれ。』

『偶然?
運命だ。
もう一度共有する為に、俺はお前を救いに行く。
だからお前こそ生きていてくれ。』

『…良い…。もう良いのだ。
考えてみれば、本当に愛している人と生涯を共に出来た人間は少ないかもしれん。取り繕うだけの家庭の如何に多い事か。私もその道を辿るだけのこと…。』

『本心ではないだろう。お前の言葉ではない。』

『良いかよく聞け。助けなど要らぬぞ。そして私が死んだと風の噂に聞いても信じるな。』

『なんだそれは。』

『ふふ、お楽しみにだ。』

『ぎりぎりなのにお楽しみにか。』

『私は必ずここに戻って来る。
楽観主義者ではないが、今はそう考えていなければ、身を滅ぼしそうだ…。だから、お前だけでも笑って送り出してくれよ。私も笑って旅立つから。』

『わかった。約束する。』

『アンドレ…私は王のものになる。それでも私を愛してくれるか。』

『とこしえに。』

『…今度会うときは、傲慢な女になっているかもしれんが…許してくれるか。』

『それは困るな。これ以上振り回されるのは…。ははは』

『あはは、もっとも年老いていて、誰なのか判らんかも知れぬな。』

『見損なうなよ。一目で判るさ。』

『…また会おうな…。』

『勿論だ。』



ややこしい題名で恐縮です。
後で番号を振ろうと思います。






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うたかた

Author:うたかた
『ベルサイユのばら』のオスカル様に恋い焦がれる『うたかた』の二次創作ブログです。
手描きのイラスト(デジタルのものも少し)と短い会話文で綴るサイドストーリー、コミック、雑文などを置いています。
原作をこよなく愛していますが、アニメも大好きです。
間違いだらけの拙い作品ばかりですが、大きなお心で受け流して下さいませ。
また、原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
どうぞよろしくお願い致します。
2015年7月からpixivにも投稿していますので、宜しければお立ち寄り下さい。

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