La sensibilité ( 感受性 )




『私は自分の身体になど、興味がなかったのだ。』

『え⁈』

『違うな、多分見ないようにしてきたのだ。
頭の中で、自分の思い通りに書き換えてもいたのだろうな。
突きつけられた時のショックたるや…。』

『…俺のせいかもしれない。
そう言ってくれた方が、俺は気が楽だ。』

『お前が悪いのではない。
ああ、悪いなどと言うと、また誤解がうまれるな。
そもそも忘れてはいけない事だ、自分の性がなんであるかなど。
ずっとこの身体と心で生きていくのだから。』

『……お前に聞いてみたかった事がある。』

『…何なりと。』

『お前はこの屋敷の姫君として生きていたら、伯爵と人生を共に出来たかもしれない。
それを望んだ事があったのだろう?』

『…ふふ、あったかもしれんな。』

『お前を女性に戻してくれと、この身を切り捨てられても旦那さまに進言すれば良かったのだと今になって思う事がある。
言えるのは側にいた俺だけだったのだから。
それを俺は…お前への思いでいっぱいになって…。』

『大きな御世話だな。
まったくお前は、いらぬ事を。
…お前を長い間苦しませていた事を知らずに、ローブを着た私だ。
その挙句にお前を暴走させて…。
あれは私の不徳の致すところだった。
もう良い。私はとっくに忘れたぞ。
…いや…忘れずに胸の奥にあったのかもしれんな。』

『お前を苦しませて悪かったと今でも思う。』

『違う。
私は苦しんでいない。
お前のした事で苦しんでなどいない。
不思議だな。よく考えてみると。ふふ…』



彼を怒るでもなく、遠ざけるでもない彼女の態度は、私には、とても不可思議で理解が出来ないものでした。
そして彼女は、彼にされた事に苦しんでいるふうでもないですね。
忘れえぬ出来事は、彼女自身も知らず、いつしか甘い疼きとなり、女性としての身体に彼を刻み込んでいたのだろうと今は思えます。
何事も解決に向かおうとする男性的なところと、細やかで優しい母性とを併せ持つ彼女。
人知れず、つまずきながら躊躇いながら生きていたのではないかとも思います。

正直を申しますと、今回のエピソード7の彼女は、その辺りが病的に誇張された書き方 ( 描き方 )がされていて、読後の私の気持ちをオスカル様の言葉をお借りして書いてみますと
『では…
では
私の人生は
いったい
なんだったのだ…
私のオスカル様を思い続けた青春は…』
『くる春もくる春もベルばらを思い続けた私の長い年月はなんだったのだ…。』
という感じで、心に穴が空いた様でした。
少なからず、男性として生きてきた彼女が女性としてのご自分を受け止めるまでの過程には、計り知れぬ葛藤はあったのだというのはうなづけたのですが…。

思いは巡り、やはり私には新エピソードは、マーガレットコミックス10巻までとは別と考えるのが良い様です。
なかなか飲み込みの遅い年頃でもあり、整理するのはとても難しい事だと感じています。
いい歳をした大人がお恥ずかしい限りですが。

とは言え、作者様の描かれるエピソードについては、引き続き追いかけていこうと思っています。



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  1. Oscar et André
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うたかた

Author:うたかた
『ベルサイユのばら』のオスカル様に恋い焦がれる『うたかた』の二次創作ブログです。
手描きのイラスト(デジタルのものも少し)と短い会話文で綴るサイドストーリー、コミック、雑文などを置いています。
原作をこよなく愛していますが、アニメも大好きです。
間違いだらけの拙い作品ばかりですが、大きなお心で受け流して下さいませ。
また、原作者様、出版社様等とは一切関係ございません。
どうぞよろしくお願い致します。
2015年7月からpixivにも投稿していますので、宜しければお立ち寄り下さい。

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