Pour moi ( 私の為に ) ここだけの話の後
『生きてお前に会えるとは思わなかった。すまなかったな。あ…アンド…レ。』
『今度のことで思い知ったよ。
お前はこの世でたった一人。
お前じゃない女はたくさんいるのに、お前は一人しかいないんだ。』
『何を言っている。おかしな事を…』
『お前がいなくなって、頭が変になったのかもしれんな。』
『牢の中で考えていた。
私が死んでもお前には生きて欲しいと。
お前にはお前の人生があって、天命というやつも私とは違うはずなんだ。
例え夫婦であっても。』
『オスカル…』
『お前、私の後を追おうと思っていたのではないのか?』
『…それは…』
『目を覚ませ。
お前にも私にもこの世に生まれた意味があるはずだ。
私の為に死ぬな。死んではならん。』
『お前のいない、からっぽの世界で生きるなど、俺には何の意味もないことだ。』
『永らえれば良い事もあるかもしれんぞ。』
『何を。』
『もっと若い細君が来てくれるかもしれん。』
『お前を立ててくれる優しい細君が。』
『溢れんばかりの胸で迎えてくれる愛しの奥方…』
『そんなのいらない。』
『何故だ。』
『若くて、俺を立ててくれて、溢れんばかりの胸をもっている女など、お前ではないからだ。』
『お前、私を怒らせたいのか?あははは。』
本当はギリギリの中でも、そんな事はおくびにも出さずに余裕の表情で立ち向かう彼女が好きです。
アンドレに『生きてくれ。』と言う彼女。
自分を一途に愛してくれている彼には、もしもの時の覚悟として言っておきたかったのではないかと思い描いてみました。
『私の事は忘れてくれ。』
という言葉は、彼女なら仰るのではないかとこの会話の中に入れることを試みましたが、悲し過ぎるのでやめました。
今回の彼が、なんとも馬鹿っぽくてごめんなさい。
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- Oscar et André
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